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1987年1・2・3月 (あき/2才2〜4ヶ月 まさき/5〜7ヶ月)
雪の朝
あき 「あき、あかちゃん いっぱいほしいよ」
私 「赤ちゃんいっぱいだと、おかあさん忙しくなっちゃうね」
あき 「あき、おてつだいしてあげる」
私 「それじゃあ、いっぱいつくろうか」
あき 「つくろう つくろう。あき、おてつだいしてあげる」
私 「え?それは、ちょっと無理ね」
あき 「できるよ。あき ゆきで、よーいしょ よーいしょって、いっぱい あかちゃん つくるんだ」
雪どけ
あき 「ゆき なくなっちゃったね」
私 「お日様が雪を雲の中へ、かたずけちゃったのよ」
(あきは泣きそうな声で)
あき 「おひさまが ゆきを かたずけちゃったの?あきが かたずけないから?…」
ひな祭り
あき 「おばあちゃん、あき おかあさんと おひなさま さわったよ」
おばあちゃん 「そりゃ、よかったねえ。きれいだったかい?」
あき 「うん、くろーい おっきーな つの ついてたよ」
春よ来い
あき 「おかあさん おはよう。きょうは なんのひ?」
私 「今日は、どこかへ行くような特別の日じゃないのよ」
あき 「ねえ、なんのひ?あき いくよ。あき いく」
私 「困ったわ… そうそう、今日は啓蟄っていってね、蛇や虫たちがもぞもぞ起きてくる日だと思うわ」
あき 「わあ、すごい!あき、みにいくよ」
私 「困っちゃったなあ。今年は、まだ寒いから、みんなお寝坊してるわ、きっと」
あき 「あき、おこしてあげる。はやく おきなさーいって、おこしてあげる。いこう いこう。はやく はやくー」
木が赤くなってきたよ
(あき、中庭の毛桃の木を見て)
あき 「おかあさん、きが あかくなってきたよ」
私 「木が赤くなるのかしら…」
あき 「あかくなって きたんだよ」
私 「そうかあ、つぼみがふくらんできたのね」
あき 「いこう。あかいき、さわりに いこうよ」
1987年4・5・6月 (あき 2才5〜7ヶ月 まさき 8〜10ヶ月)
五月人形
あき おかあさん、ほらっ、あきとまさきの よろいかぶとだよ」
(あきは私の手をとって、祖父母の家の床の間にきれいに飾られた二組の真新しい鎧甲に触らせてくれた)
私 「きれいねえ。おじいちゃんが箱から出してくれたんでしょ?」
あき 「おじいちゃん、はこから おこしてくれたの。はるだから、おはな さいたから おきなさーいって、おこしてくれたんだよ。このじいちゃんが!」
(あきはおじいちゃんにとびついた)
おじいちゃん 「そうだそうだ。あきは、よくわかるなあ。ワッハッハッ…」
楽しい道草
私 「あき、さあ、もう帰りましょう」
あき 「まって まって…」
(あきは田んぼのあぜから一輪の花をつんで、私の手に載せた)
あき 「オオイヌノフグリ きれいでしょ?」
私 「きれいねえ」
あき 「かわいいでしょ?」
私 「とってもかわいい」
あき 「いい においでしょ?」
私 「ん… 優しいにおい」
あき 「ねっ、いいでしょ?これ あげるから、ちょっとの あいだ、いいこにして まっててね」
道
(夫たちが働いてつくった、家から城山公園までの道を子どもたちと一緒に初めて歩いた。 足下のアスファルトは、まだほかほかと温かく、私の左手にはキュリー。右手にはあき。背中にはまさきがいた)
あき 「おかあさん、この みち さわって。ふたっつの おててで、よーく さわって」
私 「あったかいね」
あき 「ねっ、あったかいでしょ。このみち、おとうさんが つくったんだぞ」
私 「おとうさん、すごいね。こんな立派な道、つくっちゃうんだもの」
あき 「あき、おおきくなったら おとうさんになるよ」
まさき 「ダーダーダー アップー」
あき 「まさきもなりたいって いってる」
私 「ほんとだあ」
あき 「おかあさんも おおきくなったら、おとうさんになるでしょ?」
夕映え
(干してあったキュリーの敷物を取り寄せようとベランダに出た。ベランダに立つなり、あきが歓声をあげた)
あき 「わあ、おうち きれいだあ!わあ、すごーい!」
私 「お家がきれいなの?いつも見てる景色なのに…」
あき 「わあ、きれいだあ!ピカピカ ひかってる!」
私 「ピカピカ… ああ、夕映えね!お日様がキラキラして、それでお屋根や窓が光ってるんでしょ?」
あき 「そうそう」
私 「おかあさん、目が見える頃、この夕映えの時間が一日で一番好きだったの。あきのお陰で思い出したわ。あき、ありがとう」
あき 「おかあさん、うれしい?」
私 「とっても嬉しい」
あき 「あきも」
東部町ふれあい広場
あき 「ふうせんだあ!ふうせん! ふうせん!ああ…」
夫 「あーあ、とんでっちゃった。だから、ちゃんと持ってろって言ったろ」
おばさんたち 「坊や、残念だったねえ」
(けれどもあきは、私とつないだ手を振り回し、飛び跳ねながら、まるで自分が空を飛んだかのよう)
あき 「あきのふうせん、くも たべにいったんだよ!ほうらとんでくー!わあ、とんでくー!ウフフ ウフフ…」
おいもは怖い?
あき 「ばあちゃん、なにしてるだ?」
おばあちゃん 「芋がまずくならねえように、芋の芽、かいてるだよ」
あき 「あきも やるよ」
おばあちゃん 「お芋さんの芽はこわい(堅い)だで。あきなんおっかけば、手え痛くするわい。おお、 こわいこわい」
あき 「こわくないよ。あき やるよ」
(それから、しばらくして)
あき 「ばあちゃん みて!ほうら、あき できたよ!ねっ、やさしい おいもになったでしょ」
三日月
(まさきが眠ったひととき、あきを抱き上げて、階段の上の窓から東の夜空を眺めた)
あき 「おかあさん、ほらっ みかづきさん でてる」
私 「やせっぽちのお月様かしら」
あき 「うん、あれ とれる?」
私 「あんなに高い所にあるんだもん、ちょっと無理じゃないかしら」
あき 「おじいちゃんの はしご もってくれば?」
私 「それでも届かないと思うよ」
あき 「おつきさま にげる?」
私 「ウフフ… そうね」
あき 「くろーい はしご もってきて、そうっと いけば どう?」
ハーネス
(家族で峯の原のペンション「フレデリック」に泊まり、翌朝、キュリーも一緒に、みんなで木立の中を歩いた。)
私 「家族そろってお散歩するなんて、久しぶりねえ。うぐいすの声が森に響いて一段ときれいだわ」
夫 「そうだなあ」
あき 「うぐいすさん、いっしょに あるきたいって いってるんだよ」
私 「そうね」
あき 「う ぐ い す さーん!ハーネス つけなきゃ だ め だ よお!」
(ハーネス…盲導犬と盲人をつなぐ胴輪)
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