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里枝子のエッセイ

私にとって、ピア・カウンセリングとは

「ピア・カウンセリングってなあに?」
(全国自立生活センター協議会)掲載原稿

 私は、アメリカのADA法に至る歴史を調べていた時に、ピア・カウンセリングの存 在を知り、関心をもった。
 そこで私は、翌年バークレイのCILに行ったおりに、タット・グロウブスさんに、 ピア・カウンセリングのことを尋ねた。すると、タットさんは「里枝子、あなたが、 ラジオで語っていることが、すでに素晴らしいピア・カウンセリングなんだよ」と答 えた。その思いがけない言葉は、その後も、私を勇気づけてくれる。
 もちろん彼の言うのは、広くとらえた場合のピア・カウンセリングなのだが、その 意味では、私が学生時代から、障害者の自立運動に関わり、日々地域で生きてきたこ とも、ラジオを通して、地域で生き生きと暮らす仲間たちを紹介してきたことも、講 演活動も、それぞれにピア・カウンセリングにつながる大事な仕事と受け止めて取り 組んでいる。
8  ところで、私は、ピア・カウンセリングが、私自身の成熟と、自信の回復のために 、なくてならないものだと気づいてきた。例をあげれば、子供の頃から弱視だった私 は、人の悩みを聞くことが、せめてもの恩返しと思ってきたようなところがある。と ころが、相手と同じ気持ちになろうとすることしかできなかった私は、知らずに傷つ いてきた。そんな私が、自分と人を区別し、尊重し、なおかつ感情表現を完全に許し あう聴き方を学べたことは、本当にありがたい。
 また、地域の自立支援センターでの相談業務は、1999年4月から、毎週火曜日に担 当している。相談者は、視覚障害者や女性障害者が多いが、中には、サポート・グル ープのように、関係の深まった仲間もいる。利用者が気持ちを解放できたり、目標に 近づいた時は、むろん嬉しいが、経験のないことにぶつかって、懸命に情報を集めた り、先輩のピア・カウンセラーからサポートを頂いて、なんとか乗り切ることもある 。また、利用者の選択を支持し続けようとする時、この仕事の厳しさを痛感してきた 。
 そんな経験から、私は、ピア・カウンセリングが、指導、訓練とは逆に、人生のリ ーダーシップを障害者自身に取り戻すことだということを、心に刻んでいたい。だか らこそ、完全に対等なピアでなければならないし、お互いの力を深く信じて、自立を 支えあうことによるエンパワーメントが、重要なのだと思う。

(広沢里枝子)

関連HP
ピアカウンセリングとは 全国自立生活センター協議会(JIL)
http://www.j-il.jp/about/pc.html
上小地域障害者自立生活支援センターウイング
http://www7.ueda.ne.jp/~siensent/