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これまでのゲスト

放送日:2016年8月27日

<ゲスト> 田尻富美子(たじり ふみこ)さん

「里枝子の窓」では、毎年夏に、地域の方々から戦争体験をうかがっています。
今月のゲストは上田市にお住いの田尻富美子さんです。田尻さんは、昭和8年に横須賀で生まれました。
小学校5年生のときに茅ケ崎に集団疎開し、その疎開先で機銃掃射に二度も狙われる体験をされました。
最初に銃撃を受けたときには全身に痛みが走り、防空壕の中に飛び込んでから、闇の中で、おそるおそる自分の足にさわったそうです。それで怪我をしていないらしいと知ってホッとしたそうですが、防空壕を出てから地面を見ると、自分の足跡のほんの30センチ先に無数の砲弾の跡があり、九死に一生を得たことを知ったそうです。
また、二度目に銃撃を受けたときは、学校から、疎開先だったお寺に帰る途中でした。飛行機が、空からダダダッと銃撃しながら迫ってきたとき、田尻さんは、思わず前を歩いていた下級生を突き飛ばすようにして茶畑の中に隠し、自分も茶畑に飛び込んだとのこと。後で考えると、茶畑は下半身を隠してはおらず、2人とも、よく助かったと胸を撫で下ろしたそうです。
その後、田尻さんは、終戦の15日前に横須賀のご実家に戻りました。ところが、軍港のあった横須賀は米軍が戦後に使う計画だったのか、全く爆撃を受けておらず、驚いたそうです。
横須賀に各国の進駐軍が入ってきた戦後の変化も、子供の素直な目で、よく見て覚えておられます。そうした戦中、戦後のご経験を中心に、まるで目の前に見えるように語ってくださる田尻さんのお話をうかがい、私達の国の歴史を振り返ります。

(文/広沢里枝子)

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