これまでのゲスト
放送日:2025年9月27日
<ゲスト> 佐々木恵理子さん(医師)
今月のゲストは、医師であり、八重山古典民謡の唄さんしん(三線)にも取り組んでおられる佐々木恵理子さんです。
佐々木さんは、信州大学医学部卒業。平成5年から佐久市に住み、11年間、浅間総合病院に勤務、糖尿病を専門とする内科医になりました。平成16年からは小諸高原病院に勤務し、精神科も専門で診るようになりました。
令和5年末に60歳になったのをきっかけに、病院での常勤を辞め、現在はフリーの医師として3か所で診られていらっしゃいます。そのうち週2日は上田市の「きらり在宅診療所」で、主として高齢者の往診をしておられるそうです。
さんしんの方は、小諸高原病院に転職する直前に八重山さんしんとの出会いがありました。その後、高寺知香(たかでら ちか)先生に師事し、時々は石垣島まで行って、向こうの人たちと一緒に弾いたり、資格試験を受ける機会を得ておられるそうです。
佐々木先生は、毎年佐久市の「池田オーガニックファーム」で開かれる棉の種まきイベントでもサンシンを弾いて唄ってくださいます。私は、そこで先生に出会いました。畑を渡って行くサンシンの音色は、とてもすてきです!ですから、今回の放送でも、ぜひ先生に唄さんしんを聞かせていただきたいと願っています。
また、佐々木先生に、精神科の医師としてのお仕事と、唄さんしんを今後、どのように続けていきたいか、お尋ねしたところ、次のようなお返事でした。文章では難解に感じる内容ですが、ぜひ理解したいと思います。どうぞ、人間味溢れる佐々木先生のお話と、八重山古典民謡の豊かさを味わってください。
〈自分で自分に聴かせるお話、というものが皆さんそれぞれにあると思いますが、それが豊かなものになって行くときには、何らかのきっかけで他者が訪れ、他者に語りかけられたり、それに耳を傾けたりしているのだろうと思います。その時に何か事故が起きて、物語が破綻する。何が悪かったのだろう、理由が欲しい、精神病の発症を専門用語を使わないで説明しようとすれば、このようなことなのかもしれません。だとすれば、薬だけでなく、語り合うことも治療になるでしょう。歓待と傾聴、これが精神科診療の基本だと思います。今後、そのような場所を作っていくように尽力したいですし、自分の物語を全うしたいために、私はさんしんも続けるのです。〉
(文/広沢里枝子)
