里枝子の短歌集「点描」 - 瞽女唄を詠む -
- 白梅の古木に触れて瞽女唄の梅の口説(くどき)を口の端(は)にする
- われ独り関東平野に立ち向かい喉も裂けよと唄う瞽女唄
- 感染の不安恐れて暮らすより今を生きんと三味線を取る
- 三味を打ち言葉の糸を紡ぐごと瞽女唄唄う朝に夕べに
- 盲女性だけに伝授を許されし遺言(いごん)のごとき祭文松阪
- 文殊堂の濡れ縁に座し瞽女和讃鳴く松蝉に和して唄いぬ
- 降り積もる雪を払えば太い杖三味を抱えた瞽女の銅像
- 瞽女唄は庶民の暮らしの唄ゆえに反戦歌だと師匠言いきる
- 瞽女唄の今日の舞台は綿畑 大地と種と種撒く人へ
- 瞽女として生きて死にたる女たち思いめぐらす音訳図書に
- 山に野に集(すだ)くいのちの合唱は無数の瞽女の唄うが如し
- わが三味に「瀧」と名付けてその飛沫浴びる如くに寒稽古する
- 「瞽女唄をやりましょうよ」と全国へわれの語りをナビラジオから
- 九才でお師匠さんを真似ながら習ひし唄を今も忘れず
