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放送日:2016年12月31日

<ゲスト> なし

 今月は、2016年を振り返りながら、私1人でお話しします。
 今年は、近年なかったほど、障害者に関わるニュースが報道されました。そこでまず、私が考えた今年の障碍者関連の5大ニュースを揚げてみます。「月刊 視覚障害」の記事「2016年の光と影」(大胡田誠著)からヒントをいただきました。
 そして、私、今回初めて、スタジオに三味線を持って行き、越後瞽女唄(えちごごぜうた)を三味線伴奏で唄わせていただきます。
 瞽女唄というのは、瞽女さんたちが、暮らしのために唄った唄です。瞽女さんというのは、家々を巡り歩いて、三味線伴奏で唄った、盲目の女旅芸人のことです。関東甲信越など、日本各地に見られた瞽女さんの姿は、今は失われてしまいました。
 ですが、私は一昨年から、新潟市にお住いの瞽女唄の伝承者、萱森直子先生のもとへ、盲導犬のアイメイトとお稽古に通っています。今年も本業の仕事で、学ぶことが非常に多い1年でしたが、家では、裏山に向かって三味線を弾き、大声で唄いながら、大好きな瞽女唄の稽古に励みました。
 習い始めてから、まだ2年9カ月。瞽女さんたちの鍛え上げた声とはほど遠く、唄うのが、楽しくて仕方ない少女の瞽女さんといったところです。
 けれども、瞽女唄が、過去の化石のようなものではなく、今も人々に楽しんでいただける生きた芸であることを少しでもお伝えできたらと思います。
 今回は、門付唄としてよく唄われた「庄内節」と、萱森先生が、杉本しずさんから伝授された高田瞽女の「佐渡おけさ」を演奏します。
 大晦日の日暮れ時、日本の民衆に親しまれた素朴な歌をお楽しみください。

(文/広沢里枝子)

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