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これまでのゲスト

放送日:2022年2月26日

<ゲスト> 萱森直子さん

 今月のお客様は、私の瞽女唄の師匠、萱森直子さんです。
 萱森先生は、新潟県新潟市にお住まいです。無形文化財保持者の長岡瞽女・小林ハルさんの最後のお弟子さんです。高田瞽女杉本シズ氏を通して高田系瞽女唄も習得し、長岡・高田両系統の瞽女唄を直接伝授された伝承者であり、多数公演をしていらっしゃいます。
 映画『瞽女GOZE』の瞽女唄指導協力など、メディア出演・協力多数。「越後ごぜ唄グループ『さずきもん』」を主宰しておられます。
 今回は、萱森先生の新著『さずきもんたちの唄 最後の弟子が語る瞽女・小林ハル』(左右社発行)のことを中心にお話を伺います。
 たとえば萱森先生は、「第一話 師匠・小林ハルとの出会い」で次のように書いています。
 「声がどうとか唄や三味線がうまいとか、素敵なメロディだなとか、そのような印象ではありません。ただひたすら「ここにこんなものが残っていたんだ」という驚きでした。
発声も、音程のとり方・移り方も、三味線も、その人自身が発している存在感そのものまで、まるごとすべてがそれまで経験したことのないものだったのです。自分が知っていたあらゆる音楽芸能とかけ離れたものであるように感じられました。五線譜や文字、知識や技術でいじられていない根源的な魅力をもった世界……ほかの世界の価値観や毀誉褒貶を拒否しているかのような。神聖なものを目の前にしているような、不思議な感覚でした。」
 このようにして語られる、ハルさんの忘れられない言葉、その唄と芸のこと。瞽女の芸の真髄。萱森先生との対談をとおして、一人でも多くの方にこの本の意義をお伝えできたらと思います。

『さずきもんたちの唄 最後の弟子が語る瞽女・小林ハル』(左右社発行)

(文/広沢里枝子)

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